子どもが突然「学校に行きたくない」と言い出した時、親としては心が揺れ動きます。毎朝起こそうとしても動かない。無理に連れて行けば泣き出す。そんな日々が続けば、「自分がもっとそばにいてあげないといけないのでは?」と思うのは自然なことです。
そして多くの親御さんが一度は考えるのが、「仕事を辞めるべきかどうか」 という問題です。
仕事を辞めれば子どもに時間を割ける一方で、経済的な不安や将来への影響も出てきます。この記事では、仕事を辞めるメリット・デメリット、そして辞めずにできる工夫まで整理してお伝えします。
仕事を辞めるメリット
1. 子どもと過ごす時間が増える
不登校の子どもにとって、最も大切なのは「安心できる環境」です。親がそばにいることで孤独感が減り、落ち着きを取り戻すケースは少なくありません。特に小学生や精神的に不安が強い時期には大きな支えとなります。
2. 小さな変化に気づきやすい
子どもは言葉にできない気持ちを行動や態度で示すことが多いものです。一緒にいる時間が長ければ、「今日は少し元気そう」「外に出る気になってきた」など、微妙な変化にも早く気づくことができます。
3. 柔軟に動ける
病院、カウンセリング、支援機関への相談など、不登校のサポートには時間の調整が必要です。仕事をしていると「休みが取れない」と後回しになりがちですが、仕事を辞めればすぐに動ける柔軟さがあります。
仕事を辞めるデメリット
1. 経済的な負担
収入が減れば、生活の安定が揺らぎます。教育費、住宅ローン、生活費…。不安が増えると家庭内の空気が重くなり、結果的に子どもに悪影響を及ぼすこともあります。
2. 親の孤立
仕事を辞めると社会とのつながりが薄くなり、親自身が孤立するリスクがあります。「子どものために辞めたのに自分もつらい」と感じてしまうと、気力を失い、子どもに寄り添う余裕がなくなることもあります。
3. 子どもの罪悪感
子どもは敏感です。「自分のせいで親が仕事を辞めた」と感じてしまうこともあります。これは本人にとって重荷となり、余計に心を閉ざすきっかけになることもあります。
辞める以外の選択肢
「辞める」か「辞めない」かの二択だけではありません。実はその中間にさまざまな選択肢があります。
時短勤務や在宅ワーク
最近はリモートワークやフレックス勤務が広がっています。フルタイムをやめて時短に切り替えれば、収入を確保しつつ子どものそばにいる時間も増やせます。
休職する
会社に制度がある場合は、いったん「休む」選択も可能です。子どもの状況を見ながら、復帰のタイミングを考えられます。
周囲に協力を頼む
祖父母や親戚、地域の居場所、フリースクールなど外部のサポートを活用するのも有効です。親だけで抱え込む必要はありません。
親自身のメンタルケアも大切
不登校は子どもだけでなく、親にとっても大きな試練です。
「自分の育て方が悪かったのでは?」と責めてしまう方も少なくありません。
けれど、不登校は誰にでも起こり得ることです。家庭のせい、親のせいとは限りません。
だからこそ、親も相談できる場所を持つことが大切です。
親の会やカウンセラー、信頼できる友人など、支えを見つけてください。
まとめ
子どもが不登校になったとき、親が仕事を辞めるべきかどうかは家庭によって答えが違います。
- 仕事を辞めれば、子どもと向き合う時間が増える。
- しかし、経済的・精神的なリスクも大きい。
- 大事なのは「辞めるかどうか」ではなく、家庭全体が無理なく安心できる形をつくること。
辞めることが正解の家庭もあれば、働き方を変えることで解決する家庭もあります。
一番大切なのは、子どもが「家は安心できる場所」と感じられること。
そして、親自身も孤立せずに笑顔でいられることです。
焦らず、一歩ずつ。
不登校は「今の困難」であって、「未来のすべて」ではありません。
子どもの可能性は消えませんし、親子で一緒に歩んでいける道は必ずあります。