子どもが不登校になったとき、親としては「そばにいた方が安心するのではないか」「仕事を辞めて家にいるべきか」と悩むことが少なくありません。
ですが、ここで忘れてはいけないのは、「子ども本人の気持ち」 です。
親が良かれと思って取る行動も、子どもにとっては必ずしも安心や支えにはならないことがあります。では実際に、不登校の子どもは親に「家にいてほしい」と思うのでしょうか?
子どもによって違う「親への距離感」
親がそばにいると安心するタイプ
- 「一人でいるのが怖い」
- 「親が隣にいるだけで落ち着く」
- 「ご飯を一緒に食べたい」
特に小学生や、不安感が強い子どもに多い傾向です。親が在宅しているだけで安心して過ごせるというケースもあります。
一人の時間を大切にしたいタイプ
- 「親に見張られている感じが苦しい」
- 「干渉されずに自分の世界にこもりたい」
- 「自分のペースで過ごしたい」
思春期の子どもに多いのがこちらです。親がずっとそばにいることで逆にプレッシャーになり、家の中でも居場所を失うと感じることさえあります。
親の「思い込み」がすれ違いを生む
親は「仕事を辞めて家にいれば子どもが安心するはず」と考えがちです。
しかし、子どもが「一人でいたい」と思っている場合、それは逆効果になってしまいます。
例えば…
- 親は「一緒にいれば安心だろう」と思って常に声をかける。
- 子どもは「放っておいてほしい」と感じ、さらに心を閉ざす。
このように、親の「良かれと思って」が子どもの負担になることもあるのです。
本人の気持ちを聴くことの大切さ
大切なのは、子どもに直接聞いてみることです。
「学校に行けない間、どうしてほしい?」
「そばにいてほしい?それとも、ひとりで過ごしたい?」
こうした問いかけは、子どもの意志を尊重する第一歩になります。
そして「自分の気持ちを聞いてもらえた」という体験は、自己肯定感にもつながります。
家にいることが正解でも、不正解でもない
親が家にいるかどうかは「絶対の正解」はありません。
- 子どもが望むなら、一緒に過ごせば良い。
- 子どもが一人を望むなら、距離を置いて見守れば良い。
つまり大事なのは 「子どもの気持ちに合わせて柔軟に変えていくこと」 です。
親自身の気持ちも大切に
ただし「子どものために」と全てを犠牲にすると、親自身が疲れ果ててしまいます。
親が無理をして仕事を辞めたり、常にそばにいようとしたりすると、経済的・精神的な負担が大きくなり、家庭全体が不安定になりかねません。
- 必要なら祖父母や支援機関に協力を頼む
- 在宅ワークや時短勤務を検討する
- 親自身も相談相手を持つ
こうした工夫をしながら、無理なく子どもに寄り添う形を探すことが大切です。
まとめ
不登校の子どもが親に「家にいてほしい」と思うかどうかは、一人ひとり違います。
だからこそ、
- 親が勝手に決めつけないこと
- 本人に気持ちを聞いてみること
- 一緒に「安心できる距離感」を探すこと
この3つが何より大切です。
親が子どもの気持ちを尊重しながら寄り添うことで、子どもは「自分の声を大事にしてもらえた」と感じ、少しずつ前を向く力を取り戻していきます。
不登校はゴールではなく、一つのプロセスです。
親子で安心できる関係を積み重ねることが、やがて子どもの未来につながっていきます。
