「うちの子、学校に行けなくなってしまった…」
そんな状況に直面したとき、親としてどれだけ心配になるか、計り知れません。

毎朝「起きなさい」と声をかけても動かない我が子。学校の話題になると、ピタリと黙り込んでしまう姿。親としては「どうすればいいのだろう」と胸が締めつけられるような思いに駆られますよね。

実際に今、不登校の子どもは全国的に増えています。文部科学省の調査では2023年度、小中学生の不登校はおよそ30万人。もはや珍しいことではなくなり、「どの家庭にも起こりうること」として社会全体で向き合うべきテーマになっています。

そんな中で注目されているのが、「学校に行けない子どもたちのための居場所」です。そのひとつが、今回ご紹介する**『まき寮』**です。


まき寮とは?

まき寮は、不登校や引きこもりで悩む小中学生が安心して生活できるようにとつくられた施設です。新築の戸建て住宅を活用し、家庭的な空間で少人数の子どもたちが共同生活を行います。

特徴的なのは、「学校復帰」だけをゴールにしていない点です。もちろん学校に戻りたいという気持ちを応援することもありますが、それ以上に大切にしているのは、子どもが自分らしさを取り戻し、“生きる力”を育てること

「まずは安心して過ごせること」
「一人じゃないと感じられること」
そこから少しずつ、次のステップへと進んでいけるよう支えていく――それがまき寮の考え方です。


少人数だからこそできること

まき寮の定員は3〜5人前後。とても小さな規模です。

一見すると「少なすぎるのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、ここにこそ大きな意味があります。

不登校の子どもたちは、多くの場合「大勢の中に入ること」への抵抗感や恐怖心を抱えています。教室のように30人近い同級生と一緒に過ごすことは、とてもハードルが高いのです。

そこでまき寮は、あえて少人数での共同生活を採用。スタッフも子ども一人ひとりに目を配りやすく、「自分の存在を認めてもらえている」という実感を子どもが持ちやすい環境になっています。

小さな規模だからこそ生まれる安心感。これがまき寮の大きな強みです。


生活習慣を整える ― 日常のリズムを取り戻す

不登校が続くと、昼夜逆転になったり、生活リズムが乱れがちになります。朝起きられない、夜中にゲームやスマホをしてしまう、食事の時間もバラバラ…。こうした状態が続くと、心も体もどんどん不安定になってしまいます。

まき寮では、この「生活リズムの立て直し」を大切にしています。

  • 朝決まった時間に起きる
  • みんなで食事をとる
  • 適度に体を動かす
  • 夜はきちんと眠る

当たり前に見えることですが、不登校や引きこもりの子どもにとっては大きな一歩です。共同生活の中で自然に習慣が身につくよう、スタッフが寄り添ってサポートします。


学びと遊びのバランス

「まき寮」はただの“休む場所”ではありません。併設された学習塾で、子どもたちは自分のペースに合わせて勉強することができます。

学校の進度に縛られず、得意なところを伸ばし、苦手なところを少しずつ克服する。個別指導に近い形で学習を進められるので、「勉強が怖い」という気持ちを和らげることができます。

さらに、学びだけではなく「遊び」や「交流」も大切にしています。施設には駄菓子屋のように気軽に立ち寄れる空間があり、そこで子ども同士が自然に会話を交わしたり、スタッフと一緒に笑い合ったりできます。勉強だけでも、遊びだけでもなく、そのバランスが子どもの心を少しずつ柔らかくしていくのです。


選べるコース

まき寮にはいくつかのコースが用意されています。

  • 小学生コース(小2〜小6)
  • 中学生コース(中1〜中3)
  • 不登校・引きこもりコース

学年や状況に応じて、自分に合ったプログラムを選ぶことができます。例えば「学校には戻れそうにないけど、生活リズムを整えたい」という子や、「高校進学を目指して勉強を続けたい」という子。それぞれの希望に合わせたサポートが行われています。


保護者とのつながりも大切に

子どもが安心して過ごせることはもちろんですが、まき寮は保護者のサポートも大切にしています。

「子どもが不登校になってしまったのは親のせいでは?」
「どう関わったらいいのかわからない」

そんな思いに押しつぶされそうになっている保護者は少なくありません。まき寮では、相談窓口を設けており、家庭と施設がしっかり連携できるようになっています。

子どもを一緒に支えていく伴走者がいること。それだけで、親の心も軽くなるのではないでしょうか。


気になる点と確認したいこと

もちろん、どんな施設にも「確認しておきたい点」があります。

  • 費用はどれくらいかかるのか(月額・年額の目安)
  • スタッフの体制や専門性(教員経験者、カウンセラーなどがどの程度いるのか)
  • 卒業後の進路サポート(学校復帰、通信制高校進学、就労支援など)

これらは家庭によって大きく関わってくる部分ですので、利用を考える際は必ず問い合わせて確認するのがおすすめです。


最後に

不登校は「失敗」でも「終わり」でもありません。
子どもにとっても、親にとっても、「自分に合った道を見つけるチャンス」になり得ます。

まき寮のような施設は、学校とはまた違った形で子どもを支えてくれる場所です。「安心できる居場所」があることで、子どもは少しずつ笑顔を取り戻し、未来への一歩を踏み出していけるはずです。

親としてできることは、「無理に引っ張る」ことではなく、「一緒に寄り添い、選択肢を探す」こと。そのひとつの選択肢として、まき寮を知っておくことは、大きな意味を持つのではないでしょうか。